注文住宅を建てる際に、省エネに注目している方もいるでしょう。ここでは省エネ住宅の定義や省エネに特化した注文住宅を建てる際に着目してほしいポイントなどを紹介していきます。省エネ住宅に興味のある方は、家づくりの参考にしてください。
省エネ住宅とは?
省エネ住宅とは、簡単に言えばエネルギー消費が少ない家のことです。床や天井、壁などに高い断熱性能を持った断熱材を採用し、住宅全体の気密性を高めているため、エアコンなどの消費電力を抑えることができるでしょう。
1979年に省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)が制定され、何度か改正を経て、改正省エネ基準とされるものを基準として、その条件を満たした住宅を「省エネ住宅」として認めています。改正後では、灯油や都市ガスなどの2次エネルギーを石油などの1次エネルギーに換算した場合、消費量がどの程度になるのかも評価基準にプラスされています。冷暖房や換気、給湯など住宅で消費される2次エネルギーが1次エネルギーの消費量よりも少ない場合に「省エネ住宅」として認められるのです。
そのため住宅を建てた後から「省エネ住宅」にリフォームするのは容易ではありません。住宅を建てる前に「省エネ住宅」として設計することが大切になってきます。
省エネ住宅を建てるうえで注目したい性能と設備
省エネ住宅にするための性能や設備があります。内容をしっかり把握し、検討した上で導入するようにしましょう。
断熱性能
断熱とは、簡単に言えば熱が内側と外側に行かないように遮断し、外気温を室内に伝わりにくくすることです。断熱性能に大きく影響を及ぼすのが断熱材になります。たとえば断熱材の性能が悪いと、気密性が悪くなってしまい、家の中でも快適に過ごすことができません。断熱材を隙間なく敷き詰め、熱伝導率の低い断熱材を使うことが好ましいでしょう。断熱材の性能や施工方法によって、家の快適性が著しく左右されてしまうので注意してください。
ZEH
ZEHとは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの頭文字を取ったもので、断熱性能等を大幅に向上させ、高効率な設備システムを採用することで室内環境の質を維持し、大幅に省エネルギーを実現した住宅のことです。再生可能エネルギーを導入し、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにすることを目指した住宅になります。つまり使うエネルギーよりも創るエネルギーが上回ることを目標とした住宅なのです。
エコ給湯
エコ給湯とはヒートポンプの技術を活用し、空気の熱で沸かす電気給湯機です。ヒートポンプ技術はエアコンにも採用されている技術で、室外に設置されたファンが熱を吸収し、その熱で水を温めています。電気だけでなく、外の温度も利用しているため省エネルギーでお湯をつくれる方法です。またお湯を沸かす時間なども電気代が節約できるタイミングに設定できるなど、お財布にも優しいと言えるでしょう。
省エネ住宅の種類
次に省エネ住宅の種類について紹介していきます。
長期優良住宅
長期優良住宅とは、長期間安心で、快適に暮らせる家であると認められた住宅のことです。平成21年度よりスタートしており、9つの項目の基準を全て満たした住宅だけが認定を受けることができます。長期優良住宅と認められることで優遇が受けられることも。
LCCМ住宅
LCCM住宅とは、長寿命かつ一層のCO2削減を目標とした住宅のことです。住宅の建設から居住、廃棄に至るまでの一生涯、つまり住宅のライフサイクルのすべてにおいてCO2の収支をマイナスにしている住宅になります。地球温暖化への取り組みの一つとも言えるでしょう。
認定低炭素住宅
市街化区域などに建築された住宅で、二酸化炭素の排出を抑える取り組みを行い、定められている基準をクリアした住宅のことです。認定低炭素住宅の認定を受けることで、様々な優遇措置を受けることができるため、非常に魅力的な制度と言えるでしょう。
省エネ住宅のメリット
省エネ住宅を建てることで、地球にやさしいというエコな取り組みだけでなく、様々なメリットがあります。
光熱費を抑えられる
省エネ住宅の魅力は、光熱費を抑えられることです。断熱性・気密性が高いため、外からの影響を受けにくい造りになっています。そのため冷暖房の効きも良くなり、使用する量を大幅にカットすることができるでしょう。
太陽光発電を搭載していれば、さらに光熱費を抑えることができ、時期によっては電力が余り、売電することも可能です。売電によって得られた収入も考えれば、より光熱費を抑えることができるでしょう。
寒暖差が少なくなる
一年中快適に暮らせるのも魅力のひとつでしょう。温度差が著しく大きくなってしまえば、ヒートショックを引き起こす可能性もありますが、省エネ住宅ならヒートショックを防ぐことも。
メンテナンスなどの手間がかかりにくい
通常の住宅であれば結露などに悩まされることもあるでしょう。結露を放置していれば、カビが増殖してしまうことも。省エネ住宅なら断熱性能が高いため、結露も通常の住宅より起こりにくくなります。そのため結露を拭くなどの手間も減り、カビによる身体への影響も起こりにくいでしょう。
自然災害に強い
日本のどこでも自然災害が起こる可能性があります。停電すれば、電気が使えなくなり不自由さを感じるでしょう。しかし太陽光発電を搭載していれば、日中は自家発電することが可能です。また蓄電池も設けておけば、蓄えている電気を使うことができます。
税の優遇措置・補助金
条件さえクリアすれば、所得税や住宅ローンの優遇措置を受けることができます。また補助金を受け取ることもでき、経済的にも嬉しいメリットになるでしょう。